KEC

「小さな挑戦者たちのまなびや」というコンセプトに込めた思い

はじめまして、園長の野口です。
今回は、最近の幼児たちが抱えている課題と、「小さな挑戦者たちのまなびや」というコンセプトに込めた思いについてお話しさせていただきます。

文部科学省が、最近の幼児たちが抱えている課題として、以下のようなことを挙げています。

「他人との関わりが苦手」
「我慢できない」
「ルールを守ろうという意識が十分に育っていない」
「生活習慣や態度が身についていない」
「学習に対する関心・意欲の低下」
「運動能力の低下」

全ての問題は複雑に絡み合っていますが、上の3つは特にコミュニケーション能力に関わる部分ですね。また、「生活習慣や態度が身についていない」というのは"家庭でのしつけ"。「ルールを守ろうという意識が十分に育っていない」というのは"集団のしつけ"に関わる部分でしょうか。

さて、ここで昔の子育て環境を振り返ってみますと、
まず昔は子ども達の周りにたくさんの大人がいました。
父・母・祖父母・たくさんの兄弟姉妹・親戚・友達・近所の方々...。
さらに江戸時代には、仮親制度がありました。
妊婦の頃に帯を締める「帯親」、臍の緒を切る「取り上げ親」、名前をつける「名付け親」など...
実の親の他にもたくさんの親がいて、親戚ぐるみ・地域ぐるみで子どもを育てる仕組みがありました。普段の生活が集団生活そのものだったのでしょう。
そのような時代には、「親がずっとそばにいて家で育てるのが一番」という考え方があっても何ら問題はなかったのでしょう。

対して今は核家族が増えています。
昼間は大抵の場合父親は不在。「ワンオペ育児」という言葉もよく耳にするようになりました。
そのような子育て背景の中、母親だけで家庭でのしつけに加えて集団生活のルールを身につける"集団のしつけ"まで行うのは限界があります。
子どもに集団生活を学ばせる機会を、意図的に持たなくてはならなくなってきています。

幼児期は、生涯にわたる人間形成の基礎が培われる大切な時期です。
そして、保育園はその大切な時期に子ども達の生活の大半を過ごす場所です。
この時期に、経験すべきことを十分に経験しておくことが重要になってきます。

特に、3歳からのケンカは社会性を育むと言われています。
友達とケンカは最大の「学び」。自分の思いを主張し、ぶつかり合う中で相手にも意思があるということに「気づく」場です。またその中で、みんなで生活するにはルールを守る必要があるということにも「気づく」ことができるようになります。そういった様々な形での他者とのコミュニケーションを積み重ねれば、5歳になる頃には他人を思いやることができる子どもに育っていきます。

ところで、先程から「気づく」という言葉を強調していますが、実はこれが、私たちが一番大事にしたいことなのです。

子どもが道具の使い方がわからなくて困っている。大人が教えてあげて、成功する。「できたね!」と褒める。

...よくある光景ですが、実はこのやり方では子どもは「なぜ成功したのか」がわかりません。成功するための知識がついただけで、それは受け身的なもの。子どもの真の成長には繋がりません。なぜなら、失敗して、自分で考えて、改善して成功し、納得する。という最も重要なプロセスが抜け落ちているからです。

KEC保育園の経営母体である学習塾のKECでは、新卒の新入社員は必ず「上司の言うことは聞くな」ということを教えられます。それを聞いた新入社員は目が点になります 笑
これは、上司に反抗しろ!と言うことではもちろんありません。上司に指示を出されたら、それよりもいい方法はないか考えてみる。そしてやってみる。ということです。
すると大抵失敗します(笑)。上司の方が経験が豊富だから当然ですね。でも、それによって初めて「上司のやり方がなぜ正しいのか」に気づくことができるんです。子どもも一緒ですよね。

小さいうちから、どれだけ多くの失敗をしてそれを自分の力で乗り越えてきたかが、その後の積極性や自信につながると考えています。逆に失敗をさせないと、子どもは失敗を恐れるようになり、チャレンジができなくなります。だからこそ、失敗をポジティブに捉える環境を用意してあげることが重要です。

最近の子どもの「学習に対する関心・意欲の低下」が問題されていますが、進んで学びに向かう姿勢こそが、生涯にわたって人を育てます。失敗を恐れず、失敗から学ぼうとする、その土台を作る時期が幼児期です。

だからこそ、KEC保育園で私たちは、
大人が用意した答えを教えるのではなく、子どもたちが失敗して、考えて考えて、自分自身で答えを見つけ出すことを応援する。
たくさんの挑戦を惜しみなく与える。
そして、これまでよりも一歩成長した時には、それを親御さんと一緒に本気で褒め、喜び合う。
そんなまなびやを作りたいと考えております。

最近の子どもたちが抱える課題の中で「運動能力の低下」に触れられなかったので、それはまたいずれ...。
屋上園庭や室内ホール、ボルダリングなど、KEC保育園の運動設備も一緒に紹介できればと思います^^

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